夕日の差し込む応接室に二人の男がいた。
「…以上がについての情報です」
「ありがとう、草壁。もういいよ」
「はい」
軽くお辞儀をすると草壁は応接室を出た。
彼の足音が完全に遠ざかったことを確認すると、雲雀はある場所に電話をかける。
少しして、電話の向こうの相手が出る。
「ねぇ。君、今どこにいる?」
少し不機嫌な声でたずねる雲雀。
「…そう、それじゃあ今から行こうか。どこにって…決まってるでしょ。じゃあね」
電話の向こうではまだ何か言おうとしていたが、構わずに切る。
そして学ランを羽織り、支度を終えると、雲雀は応接室を出た。
「全く、人の話は最後まで聞いたらどうです?」
校門で出会ってすぐ、骸は雲雀へ呆れた表情と共に言葉をぶつけた。
雲雀は意に介さないといった表情で歩き出す。
「また無視ですか?…せっかく人が協力してやろうというのに…」
骸は、はぁ、とわざとらしいため息をつく。
「それで?なにがわかったんです?」
その言葉に、わずかに骸のほうへ顔を向けると雲雀は口を開いた。
「火事」
「は?」
「あいつが学校以外で起こしたであろう事件とあいつを結びつけるのは火事だったって言ってるの」
「ほう…どういうことです?」
「はい。これ見たらわかるから」
説明が面倒くさかったのか、持ってきていた資料を骸へ手渡す雲雀。
骸はその資料を受け取ると、パラパラとめくりながら雲雀の後に続く。
「これは…彼女は孤児だったんですね…」
「は知らなかったみたいだけどね」
「知らなかったって…6歳までいたんでしょう?いや、これが原因なら記憶を消したのか…」
「だろうね。あいつはそんなに強くない」
「でも、なぜ今更そんな復讐のようなことを?」
「それはに聞いてよ」
「…ところで、今はどこへ向かっているんです?」
その骸の質問には答えずに雲雀は歩き続けた。