を家へと送り届けた骸は、並盛中学校へと来ていた。

「君、何してるの」

不機嫌そうな声が骸に掛けられる。
その声のほうを向くと、学ランを羽織った少年が居た。

「雲雀恭弥…君に会いに来たんですよ」
「咬み殺されたいの?」

そう言いながら雲雀はトンファーを構える。
だが、骸は武器を出す気配が無い。

「…君、本当にかみ殺されたいの?」

骸の口から急に発せられた名前に目を丸くする雲雀。
その表情から、骸は彼女が雲雀にとって大切な存在であることを確信する。

「彼女が今日、僕のところへ来ました」
「…それがどうしたの」
「クフフ。何故来たと思います?」
「知らないよ」

あくまで素っ気無い返事をする雲雀。
骸にとって予想通りの反応だ。

「彼女、とても危険な状態ですね」
「……」
「このまま放っておくと、いずれ死にますよ?」

死というフレーズを聴いた瞬間、雲雀の表情が変わる。
焦りの色を浮かべる雲雀に対して、冷静に骸は話を続ける。

「彼女のアレは呪いの類だと思いますよ」
「呪い?」
「少なくともマインドコントロールや幻覚などではありません」

そう断言する骸の表情などは、嘘をついているものではない。
不本意ではあるが、雲雀は彼の話を聴く。

「それで?」
「…正直、僕にもどうしたらいいのかわかりません」
「使えない」
「それは否定できませんね」

雲雀の一言に骸は苦笑を浮かべる。

「それだけのために来たわけじゃないでしょ」
「彼女のことを救えるのは君だけです」
「…何言ってるの?」
「君以外の人間は彼女の…彼女らの世界に入り込めないんですよ」

彼女らの世界。
それは雲雀とが路地裏で見たものが関係あるのだろうか。

そんなことよりも、雲雀には気になることがあった。

「僕以外が入れないってどういうことだい?」
「君以外が入ってしまえば死に至る。君も見たんでしょう?彼女がしたことを」

がした事。

赤く染まった教室に、赤の中心に倒れていた男子生徒。
そして、そんな中傷を負う事無く佇んでいた彼女。

「それが本当なら…」
「このままでは死者が増え続けます」

真剣な表情で答える骸。

「まずは彼女の過去から調べるべきですね…」

の過去。
それがわかれば何かわかると言うのだろうか。

しかし何の手がかりも無い現状ではそれ以外にできることも無いだろう。
雲雀は不本意ながら骸の言葉に頷いた。

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