並盛中学校、応接室。
そこに書類の整理をしている一人の少年がいた。
彼の目の前には一日では終わらないような量の書類が山積みになっている。
「はぁ…」
――何で僕の学校でこんなに問題が起こってるんだ…
少年――雲雀恭弥は、現在二つの事に苛立っていた。
一つは“自分の”学校で行方不明など様々な問題が起こっていること。もう一つは――
ガラッ
「遅い。何やって――」
「委員長!」
「…なんだ。草壁か」
いつもなら雲雀が呼んだわけでも、必要としているわけでもないのに来ている少女がまだ来ていないことだった。
「まぁちょうど良いや。ねぇ、これ…」
「委員長!それどころではありません!!」
「…何。言いたいことがあるなら早くして」
「実は最近並盛で事件が起きていまして…」
「事件…?」
「はい。最近、並盛で暴行や殺人などが多発しているんです」
「はぁ…イタズラかい…?」
また、いつかの六道骸たちのようにイタズラをしてる奴がいるのかと思い溜め息をつく。
普段なら喜んで咬み殺しに行く雲雀だが、今は書類があってそれどころではない。
しかし、草壁の返答は雲雀の考えを覆した。
「いえ、それとは違うようで…」
「どういうことだい?」
「被害者のうち一人が意識を取り戻し、犯人がわかったのですが…」
「何?」
先程からいまいちはっきりとしない草壁の態度に苛立ちを覚えながらも先を促すと、草壁はとんでもない事実を口にした。
「その犯人が…この並盛中の女生徒らしいんです」
「!!」
「その生徒の名は…」
「…かい?」
その名を口にすると一瞬、草壁は驚いた顔をして、口を開いた。
「委員長、知ってたんですか?」
「…本当になのかい?」
――そんなはず、ない。いや、違っていて欲しい…
はどちらかといえばまじめな生徒で、学校を休んでそんなことをしているなんて事は無い筈だった。
しかし、雲雀の質問に草壁は無言で頷いた。
「そう…わかった」
「委員長、どうしますか?」
「…風紀委員を使ってを探し出して。見つけたら僕に報告すること」
「わかりました。では、そのように…」
「ただし、には何もしないこと」
「わかりました。では…」
といって礼をすると草壁は応接室を出て行った。
草壁が出てから、雲雀は再び書類の山と対峙した。
しかし、長時間続けていた疲れや先程聞いたの件があり、雲雀は少し休憩しようと立ち上がった。
そしてカップにコーヒーを注ぐと、それを飲んだ。
今、雲雀は珍しく混乱していた。
まず自分の町で殺人や暴行などが立て続けに起こっているという事実だけでも雲雀にとってはとても不快な事実だ。
それなのに更にその犯人が自分の学校の生徒で、しかも風紀委員の人間だというのだから仕方ない。
「ふぅ…」
―― 一体どんな奴が僕の学校で…
「……」
名前を確認し、雲雀は事実を認識させられる。
その無断欠席者の名は、雲雀のよく知っている名前だった。