「ハァッハァッ…」
タタタタタタッ
パタパタパタッ
暗く長い道を二人は走っていた。
一体どのくらい走っていただろう…。
先程まで二人を追っていた子どもたちはいつの間にかいなくなっている。
「ひばっ…さっ…」
「な、に…?」
「ちょっ…とまっ…!?」
雲雀が急に止まり、はぶつかりそうになる。
「ど・・・か・・・しま、した?」
は一瞬自分のために止まってくれたのかと思ったが、彼が他人のために止まることはありえない。
と言うことは、何かがあったのだろうとすぐに雲雀に訊ねた。
「アレ」
「え?」
そう言って雲雀が指差した先には、闇の中で明るく光る穴があった。
「出口、ですかね…?」
「そうみたいだね」
何のためらいもなく歩き出す雲雀。
はそれについて行こうとする。
だが、
「…っ!!」
急な激しい頭痛と目眩におそわれ、その場にうずくまる。
どうやらだけではないらしい。雲雀も苦しそうに顔を歪めてその場に立っている。
そしてまた、あの歌が響いてくる。
とおりゃんせ とおりゃんせ
ここはどこの細道じゃ
天神様の細道じゃ
「くっ…なんなの、この歌…」
「わか、りませっ…」
ちっと通してくだしゃんせ
御用のないもの通しゃせぬ
「…!!走るよ!」
「え…?な!!」
雲雀はの背後を見て、急に走り出した。
彼に手を引かれながら後ろを振り向くと、いなくなっていた子どもたちが次々と闇から現れているのが見えた。
このこの七つのお祝いにお札を納めに参ります
もう少しであの光へ手が届く。
だが、子どもたちももうすぐそこまで来ている。
行きはよいよい
――あと少し!!
帰りは
――届いた!!!
そう思った瞬間、世界は光に包まれ、意識が遠ざかっていく…。
意識が途切れる刹那、子どもたちが笑った顔が見えた気がした。
どのくらい経ったか、の意識が戻ってきた。
――なんだろ…すごくあったかい…
体に感じる温もりに目を開くと、そこは雲雀の背中だった。
「ひ、雲雀さん!?」
「やっと起きたんだ」
「え?な、なんで雲雀さんが!!?」
「君が起きなかったからだよ。…君、歩ける?」
「え…あ、たぶん歩けます」
「じゃ、降りて…」
そういって雲雀はを降ろし、歩き出した。
だが、数歩歩いたところで雲雀は崩れた。
「ひ、雲雀さん!!」
「大丈夫だよ。なんでもない」
そうは言ってもこんな雲雀を放っておけるはずがない。
彼がこうなった原因は彼女にあるのだから。
「雲雀さん、家まで送ります…」
「いいよ、そんなの」
「送ります。助けていただいたお礼です。嫌だって言っても送りますから」
「…そう。勝手にすれば」
そして二人は帰っていった。
しばらくしては気付いた、時間が進んでいないことに…。
その時、あの子どもの声が聞こえた気がした・…。
――お姉ちゃんはもう逃げられない――