9年と10ヶ月後、ボンゴレ日本支部のとある部屋。
一台のパソコンにその時代のが何かを打ち込んでいた。
キーボードを叩く音が室内に響く。
「よし、こんなものかな…」
そう呟くとは大きく伸びをする。
その傍らには小さな匣があった。
「…これもどうにかしなきゃ」
はそう言うと、ボンゴレファミリーの紋章が入ったその匣を机に仕舞い込んだ。
「それにしても、なんだか騒がしいな…」
何かあったのだろうかと、部屋を出て声のする方へ向かう。
どうやら声は調理用のスペースから聞こえているようだ。
「一体どうしたんです…か…」
部屋に入ると同時にが固まる。
少しして状況を理解した彼女は過去から来た綱吉の前に跪いた。
「お久しぶりです、ボス」
少し低めの声でそう告げる。
突然のの言動に驚き、言葉に困る綱吉。
そんな様子をこの時代のフゥ太は苦笑しながら眺めていた。
「姉、今は“仕事中”じゃないでしょ」
「え?あ!す、すみません!つい…」
赤面しながら答える彼女は綱吉も知ってるで、少し安心する。
「いや、良いんだけどさ、仕事中って何??」
「あぁ。私、仕事する時は正体隠すために男装しているものでして…」
「姉はこの時代では有名な情報屋なんだよ、ツナ兄」
「そ、そうなんだ…」
フゥ太に紹介されながら、少し照れくさそうにする。
そんな彼女を綱吉は驚きの眼差しで見つめた。
「ところで姉、どうしたの?」
「声が聞こえたから何してるのかな、と」
「もしかして邪魔しちゃった?」
「大丈夫。ちょうど終わったところだったから」
コーヒーを淹れながらは答える。
「さて、私は戻るかな」
「まだ何かするの?」
「ん、ちょっとね」
苦笑を浮かべながら答えたに、「ちゃんと寝てね」とフゥ太が心配そうに声をかけた。
その言葉に頷くと、は部屋へ向かった。