チュンチュンチュン

「朝…か…」

小鳥のさえずりが聞こえ、は目を覚ました。
伸びをし、眠い目をこすりながら辺りを見回すと、そこが自分の知らない部屋だと気づいた。

「あれ?ここ、どこだろう…」

なぜここにいるのかを考えるために昨日のことを思い出そうとしても、頭の痛みでうまく考えられない。

――痛い?そういえば昨日殴られたような…

は恐る恐る頭に手をやった。包帯の感触。
どうやら誰かが手当てしてくれたらしい。

安心して溜め息をつく
しかしこんな完璧な処置、誰がやったのだろうか…。
そう考えていると、ドアが開く音がした。

「君、起きたんだ」
「あ、はい。…あの…」
「何?」
「ここ、どこですか?私、どうしてここに…?」

その質問に一瞬驚きの表情を見せてから雲雀は答えた。

「ここは僕の部屋。君は昨日あいつらの一人に殴られたんだよ」
「殴られたってことは覚えてます。でも、何であなたの部屋に?」
「雲雀」
「え?」
「僕の名前。雲雀恭弥、だよ」
「は、はぁ…。えっと…じゃあ、雲雀さん。私、何で雲雀さんの部屋にいるんでしょうか?」
「…なんでだろうね。僕にもわからない」
「そ、そうですか…」

――何なんだろう、この人。不思議な人だな…。

「そんなことより、これ、早く食べてよ」
「え?これって…いいんですか?」
「良くなかったらあげてない」
「じゃあ、ありがたく頂きます!」

そしては雲雀の持ってきた食事を食べ始めた。
食事の間は少しだけ雲雀と話したが、ほとんど会話は続かなかった。

「…ごちそうさまでした。」
「じゃあ、行こうか」
「え?行くって…?」

いきなり話を切り出されたためにには何を言ってるのかわからなかった。

「君の家」
「あぁ!…って雲雀さんもですか!?」
「そうだけど、何か問題でもある?」
「い、いえ…」
「じゃあ行くよ」
「はぁ…」

――なんだか雲雀さんのペースになってる…?

「じゃあ、まず着替えて。終わったら呼んでね」
「はい。…え?」

そう言われ、は自分の服を見る。
気づかなかったが、いつの間にか男性ものの服を着ていた。

「!?」
「気づいてなかったの?」
「はい…。あの、これ誰が…」
「そんなことより早く着替えてよ」
「は、はい!」

その返事を聞くと雲雀は服を置いて歩き出した。
誰が着替えさせたのか、なんて質問は愚問だっただろうか…。
とりあえず、は雲雀が出たのを確認してから着替えを始めた。

この時はまだ、あんなことが起きているなんて思いもよらなかった。

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