「ねぇ、今暇?」
「こんな時間に一人で何してんの?」
「暇ならさぁ、俺たちと遊ばない?」

ちょうど醤油が切れたとかで買い物を頼まれ、が近くのスーパーへ向かっている時だった。
近道にと公園を通っていると、突然男たちに囲まれた。

「はぁ…早く帰りたいのにな…」
「そんな事言わないでさ。ちょっとでいいから」

そう言い、リーダーのような男がの肩に手を回そうとする。
それを振り切り逃げようとするが、後ろにいた男に腕を捕まれ動けなくなってしまった。

「痛っ!ちょっと、離し…」

ドゴッ

なんとか振り解こうとした時、鈍い音がしを掴んでいた男が倒れた。
後ろを振り向くと、袖に風紀と書かれた赤い腕章のついた学ランを羽織った少年がいた。
その少年の手には、銀色に光るトンファーが握られている。これで男を殴ったのだろう。

「…君たち、何群れてるの?」
「ひ、雲雀…恭弥…」
「何で群れてるのかって聴いてるんだけど?」

そう言いながら雲雀は近くにいた男を一人トンファーで殴った。
ドサリ、と地面へ倒れこむ男。

まるでそれが合図だったかのように周りにいた男たちは一斉に雲雀に飛びかかった。
次々と雲雀に殴りかかろうとする男たち。
そして、それをかわしながらも攻撃を加える雲雀。
そんな雲雀の動きは綺麗で、どこか惹かれるものがあった。

その雲雀の動きに、は気がつけば見入ってしまっていた。
…後ろに男がいたことにも気づかずに。

ゴッ

鈍い音と共に、鋭い痛みが後頭部に走り、の意識は遠のいていった。
気を失う直前に見たのは、雲雀の焦った様な顔だった。

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