「おはようございます、」
窓際の椅子に座っている少女に話しかけながら窓を開ける。
朝の陽の光と小鳥のさえずりが心地よい。
「今日もいい天気ですね。青空が綺麗ですよ」
そう言ってに微笑みかけるが、彼女からの返事は無い。
しかし、それを気にせずに彼女の髪を梳かし始める。
「の髪はやはり綺麗ですね。梳くのが非常に楽だ」
そう言って彼女の髪に口付けをすると、彼女の前に屈んだ。
「今日はどんな髪型にします?やはり可愛い髪型がいいですよね。・・・あぁ、その前に洋服を決めましょうか」
そう言って彼女を立たせ、共にクローゼットの前へと移動した。
クローゼットの中はのためだけに用意された服ばかりだ。
その種類も様々であり、カジュアルな服からコスプレ服まである。
「さぁ、今日はどの服にします?…今日はこの服にしましょうか」
そう言いながら取り出したのはフリルがふんだんに使われているピンクをベースとした服。
今日はいわゆるロリータファッションを彼女にさせるつもりだ。
「そうですね…これならふんわりとしたおだんごなんかが似合いますよね。さて、始めますか」
そう言って彼女の服を着替えさせていく。
彼女が心を閉ざしてから、毎日毎日彼女の面倒を見ている。
自らの意思を捨て、何かをすることの無くなった。
今ではもう微笑むことも、話すことも無く、人形のように言うとおりに動くだけだった。
その原因が自分の行いのせいだとわかっていた僕は、彼女が心をなくしてからずっと彼女の側に居た。
「、できましたよ。ほら、今日も可愛くなった」
彼女に鏡でその姿を見せてやる。
やはりなんの反応も示さない。
それがあまりにも辛く感じられ、無意識のうちに表情を歪める。
「…」
今にも泣き出しそうな顔を見られたくなくて彼女の肩に顔をうずめる。
――すみません、すみません、すみません…
心の中で何度も呟いていると、涙が溢れた。
僕はただ彼女の笑顔が好きだった。
彼女の声が好きだった。
彼女の優しさが好きだった。
それなのに何故あんなことをしてしまったのかは自分でもわからない。
「、、」
普段とは違って頼りない、か細い声で彼女に語りかけ続ける。
すみません。愛し方がわからなかったばっかりに君は…。