屋上に着くと目的の人物を探す。フェンスの側に目的の人物を見つけ、駆け寄る。
「ツナ、どうしたの?急な話って…」
背後から抱きつくと、柔らかく引き離される。向き合ったツナの顔はとても冷たく、別人のようだった。
「ねえ、。君も陰でオレをいじめてたってホント?」
「え?」
「君もって言うか、君がいじめの首謀者だったんでしょ?」
「ち、ちが…!」
「もういいよ…。全部聞いた。未だにイジメをしてることも、ね」
「……」
言葉が出ない。
彼の言っていることの半分は事実だ。
昔は何かとイライラしていて、誰かをターゲットにしてはいじめてた。でも、それは昔のこと。そうツナに会う以前のこと。
私もいじめのターゲットにされて、ツナに会って、優しくされて…私はいじめをやめた。
でも、きっと彼は信じてはくれない。だって誰彼構わずいじめてたのは、事実だから。
「ツナ…」
「何ではオレに近づいたの?」
「え?」
「オレのこと、好きじゃないんでしょ?」
「そんなわけない!…私は、ツナが好きだから…」
最後の方はツナの冷たい目に恐怖を感じ、消えていった。
「はぁ…。面白いよね」
「な、何が…?」
「大好きな人に裏切られてて、傷ついて。それでも僕は君が好きなんだ」
「え…」
「でもね、許すことはできない」
そう言って笑うツナの顔はとても歪んでいた。
「ツナ…」
「ねぇ、。さっきオレの事好きだって言ったよね?」
「う、うん…」
「じゃあ…オレのために死んで?」
言いながら私の首に手をかけるツナ。呼吸ができなくなり、苦しくなる。
――彼ヲ狂ワセタノハ誰?
あぁ、私…か。
私がイジメをしていたから。
私が彼に話さなかったから。
私が彼を裏切ったから…。
ツナとの幸せな日々が巡る。
――。
そう言って笑う彼が好きだった。
私に何かあると心の底から心配してくれる彼が好きだった。
今だって私のせいで、私のために苦しそうにしている。
ツナは、優しい人なんだ。
そして私はそういう彼が好きだ。
だから、これが君の答えなら…私は受け入れる。
微かな意識の中、ぼやんやりと見えるツナの顔へと手を伸ばす。
彼の頬に触れると、温かな滴に触れた。
――泣かないで。
ツナは悪くないの。
私は君の隣に居るべき人間じゃなかったの。
だから、私のことで涙を流したりしないで……。
が死んだ事を確認すると、オレは懐から銃を取り出す。
彼女を手にかけると決心した時から、持っていたそれはオレを嘲笑っているようにも思えた。
「ハハ…ごめんね」
もう動く事の無い少女に向けて呟くと、オレはこめかみに銃を当てる。
「おやすみ、」
小さく呟くと、オレはこめかみに当てたそれの引き金を引いた。
沢田 綱吉編 end