私はリストカットを繰り返している。
武と付き合うようになってからは減ったが、それでもたまにやってしまう。
流れて行く血を見ていると不思議と安心する。
だから、やめられなくなっているんだと思う。
武はそんな私のことを心配して、どんなに仕事が忙しくても電話やメールを一回は必ずしてくれる。
私が電話に出なかったり、メールをしなかったりするとすぐに来てくれる。
…だから、今日もきてくれる、よね…?
最後に私の耳を震わせていたのは、彼からの着信を知らせる音だった。
山本武が部屋に着いたときにはすでに彼女は冷たくなっていた。
今まで一度も失敗したことのない彼女が、誤って動脈を切ってしまっていた。
「…」
彼女の名前を呟いても、彼女が帰ってくることはない。
もう少し早く電話していれば、もう少し早く帰れたら。
後悔ばかりが溢れてくる。
しかし後悔しても、もう遅い。
「、お前を一人にはさせないからな」
そう言うと、彼は彼女を優しく愛しそうに抱きしめた。
翌日、ボンゴレの人間によって、同じ部屋で同じ所を切って死んでいる二人が発見された。
山本 武編 end