不思議な髪形をしたオッドアイの少年、帽子をかぶった眼鏡の少年、動物のような印象を与える少年、そして活発な雰囲気が出ている少女がソファに座って話していた。

何気ない、いつもの風景。
それを壊したのは、彼女の素朴な疑問からだったように思う。

「ねぇねぇ、人って死んだらどこに行くんだろうね?」
「知らねーびょん。ってかいきなりなんなんら!」

城島犬は呂律の回らない口調で少女の質問に答える。

「クフフ…僕たちは生きていますからわかりませんよ」
「そっかぁ…」

冷静に答える骸の言葉に残念そうに俯く、
そんな様子を見て、クスリと笑うと骸は少女の頭を撫でた。

「まぁ、そのうちわかりますよ。きっと」
「そうかな?」
「えぇ。それでは、僕たちはこれから買い物に行きますんでよろしくお願いしますね?」
「うん!いってらっしゃい!!」

そう言って骸を見送るとすぐに少女は顔を曇らせた。
犬はそれを怪訝な顔でを見つめた。

「どうしたんらよ?」
「……ねぇ。死んだらどこに行くか、死んだらわかるかな?」
「んあ?そりゃわかんじゃね?」
「……」
「お前死にてーとか思ってんじゃないらろうな!」
「大丈夫。思ってないよ」

そう言って少女が綺麗に笑ったことに安心したのか犬は少女から目を離し、お菓子を食べ始めた。
そんな犬をしばらく愛しそうに眺めた後、少女は窓際まで歩いていった。

「ごめん…バイバイ、犬」

そう彼には聞こえないように小さく呟くと、彼女は静かに窓から落ちていく。
その数秒後、ぐしゃりと言う音が犬の耳に届いた。
その音で犬は振り返ったが、そこにはもう彼女の姿はなく、ただ窓枠に切り取られた青い空が広がっているだけだった。

!?」

少女の名を叫ぶとすぐに窓際まで走り寄る。
そこから下を見ると、そこには血を流し倒れている少女の姿があった。

!!」

目の前の現実が受け入れられず、何度も何度も少女の名を口にする。

また笑って話しかけてくれるんじゃないか、また彼の名をあの優しい声で呼んでくれるんじゃないかという期待を込めて。
何度も何度も少女のことを呼び続けた。

しかし、その呼びかけに少女が答えることはもう無く、犬の声は誰も居ない部屋に空しく響いていた。

「…。オレ、骸さんや柿ピー以外で一緒に居たいって思ったの、お前だけらったんら。それなのに、なんれ死んだんらよ…」

答える事の無い少女に問いかける。

「一人は寂しいらろうから、仕方ねーから一緒にいってやるびょん」

そう言って犬は、窓枠に足をかけ、飛び出した。

二人はまるで寄り添うように倒れて死んでいた。

城島 犬編 end